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不動産投資コラム

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不労所得にも税金はかかる!計算方法、いくらから申告が必要か詳しく解説

老後の資金形成として行う不動産投資では、管理会社に物件管理を委託するケースが多いです。家賃収入など働く手間をかけずに得られる利益は、一般的に「不労所得」と呼ばれますが、一定の金額以上となった場合には確定申告・納税が必要になります。

 

そこで本記事では、不労所得にかかる税金の種類や税金の計算方法、確定申告の流れ、不労所得での税金対策方法などを解説していきます。

 

不労所得にも税金はかかる!

不労所得には家賃収入の他、株式やFXで得た利益、宝くじの当選金、公営ギャンブルで得たお金などさまざまな種類がありますが、一定以上の不労所得がある場合には確定申告しないと脱税になってしまいますので気を付けましょう。

 

まずは、不労所得にはどんな税金が課されるのかお伝えします。

 

不労所得にかかる税金は「所得税」と「住民税」

確定申告時に算出された課税所得額にかかる税金は、「所得税(+復興特別所得税)」と「住民税」です。所得税は自分で申告して納税しますが、住民税は自治体から通知された通知書で納付または給与からの天引きとなります。

 

不労所得の種類によって所得の項目・税率が変わる

不労所得はその利益をどのように得たかによって、税法上での正式な所得の項目が決まります。所得には10種類あり、どれに適用されるかで課税方法や税率も変わってきますので注意してください。

 

所得の種類

課税方法

1.不動産所得

総合

2.利子所得

総合または源泉分離

3.配当所得

総合または申告分離、源泉分離

4.一時所得

総合または源泉分離

5.譲渡所得

総合または申告分離

6.事業所得

総合または申告分離

7.雑所得

総合または申告分離

8.給与所得

総合

9.山林所得

申告分離

10.退職所得

申告分離

 

税金がかかる7種類の不労所得と計算方法

計算方法

それでは、10種類の所得のうち不労所得に関係する7種類について、その概要と課税の対象となる所得額の計算方法をご紹介しましょう。

 

①不動産所得

土地や建物を賃貸に出して得た家賃収入は、「不動産所得」となります。他に、船舶・航空機の貸し付け、借地権の設定などによる所得も不動産所得に分類されます。

 

不動産所得額の計算式

年間家賃収入(共益費なども含む)― 年間必要経費 ―(青色申告特別控除額)=不動産所得額

 

必要経費として認められるのは、固定資産税、損害保険料、減価償却費などです。また、ここからさらに青色申告特別控除額が引かれることになります。

 

マンションやアパートは10室以上、戸建ては5棟以上で、賃貸経営が事業的規模で行われていると判断されます。この場合も分類は不動産所得に変わりはありませんが、所得金額の計算は事業所得に近いものが適用されます。

 

②利子所得

金融機関での預貯金、国債・地方債・社債などで得た利息、公社債投資信託の収益分配金などは「利子所得」となります。

 

利子所得額の計算式

預貯金などの利息収入(源泉徴収をする前の金額)=利子所得額

 

利子所得は税法上では総合課税ですが、一般的には受け取る際に源泉分離課税方式で税金が差し引かれる所得になります。分離課税の内訳は、所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%=20.315%となっています。

 

③配当所得

株式配当金や証券投資信託の分配金などを受け取った場合は、「配当所得」となります。

 

配当所得額の計算式

配当金などの収入(源泉徴収をする前の金額)― 株式などを取得する際の借入金の利子

=配当所得額

 

上場株式などの配当金では20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)が源泉徴収されます。非上場株式などの配当金の場合には20.42%(所得税20%+復興特別所得税0.42%)が総合課税となるため、確定申告が必要です。

 

④一時所得

宝くじの当選金、懸賞や福引きの賞品、競馬などギャンブルでの払戻金、生命保険や損害保険の満期返戻金などは「一時所得」となります。

 

一時所得額の計算式

総収入金額 ― 収入を得るための経費※ ― 特別控除額(最高50万円)=一時所得額

※宝くじや馬券の購入費(当選したものに限る)、保険料など

 

この式で算出された金額の1/2が課税対象となります。課税方式は総合課税です。ただし、保険期間が5年以下の一時払養老保険金などの満期保険金は、受け取る際に差益に20.315%の源泉分離課税がかかりますので、確定申告は不要です。

 

⑤譲渡所得

土地や建物、株式、美術品などを売却した際の利益は「譲渡所得」となります。譲渡所得は原則的に総合課税ですが、不動産や株式などの譲渡所得は例外的に分離課税されます。

 

譲渡所得額の計算式

美術品、ゴルフ会員権など

(総合課税)

収入金額 ―(取得費+譲渡費用)― 特別控除額(最高50万円)=譲渡所得額

不動産
(分離課税)

収入金額 ―(取得費+譲渡費用)― 特別控除額

=譲渡所得額

株式など
(分離課税)

収入金額 ―(取得費+譲渡費用+負債の利子)=譲渡所得額

 

 

6年保有した区分マンション(物件価格2,000万円、取得諸費用200万円)をリノベーションして2,500万円で売却(仲介手数料80万円)した場合でシミュレーションしてみると、譲渡所得額は以下のようになります。

 

■2,500万円―(2,000万円+200万円+80万円)=220万円(課税長期譲渡所得額)

  • ・所得税:220万円×15%=33万円
  • ・復興特別所得税:33万円×2.1%=6.93万円
  • ・住民税:220万円×5%=11万円

 

合計で50万9,300円の税金がかかります。

 

⑥事業所得

「事業所得」には、小売業・農業などの自営業で得た所得だけでなく、ウェブライター・ブログ・アフィリエイトなど個人事業主として得た収入も含まれます。また、不動産経営でも食事を提供する下宿として得た家賃収入は事業所得(または雑所得)となります。

 

事業所得額の計算式

総収入金額―必要経費=事業所得

 

事業所得の必要経費としては、売上原価、管理費、減価償却費などが認められています。

 

⑦雑所得

公的年金、原稿料やオークションなど副業として得た収入(非開業)は「雑所得」に分類されます。

 

雑所得額の計算式

公的年金など

収入金額 ― 公的年金などの控除額=公的年金などの雑所得額

その他のもの

収入金額 ― 必要経費=雑所得額

 

所得が年間20万円を超えると確定申告が必要

確定申告

サラリーマンや自営業でも、副業として家賃収入などの不労所得の合計が年間で20万円超となる場合には、確定申告を行う必要があります。

 

確定申告の流れ

不労所得を確定申告する流れは、以下のとおりです。

 

1.不労所得がどの所得に分類されるか確認する
不動産投資での家賃収入は、「不動産所得」に分類されます。

 

2.取引帳簿など必要書類を準備する
確定申告を青色申告で行う場合には、エクセルなどを利用して複式簿記で帳簿を付け、決算書を作成しておきます。収入・経費の期間は、1月1日から12月31日までの分となります。必要な書類は不動産関係の書類、税金関係の書類、物件の管理維持に関する書類など数多くありますので、整理しておきましょう。

 

3.確定申告書に記入する
サラリーマンが不動産所得を確定申告する場合には、申告書Bを利用します。確定申告をする時期は、翌年の2月16日から3月15日です。

 

不労所得が年間20万円以下でも確定申告はした方がよい

不労所得を得ている場合、収入が年間20万円を超えない人、収入が基礎控除額の48万円以下の人は確定申告が不要です。ただし、青色申告の場合には赤字を3年間繰り越すことができ、医療費控除や住宅ローン控除などを受けられますので、節税対策には青色申告を利用するとよいでしょう。

 

不労所得がある人の税金対策

税金対策

不労所得にはさまざまな種類がありますので、税金対策の方法も異なります。本項目では、すべての不労所得に共通してできるものをご紹介しましょう。

 

経費計上をする

必要経費をきちんと計上することで課税対象となる所得額を減らし、税額を抑えることが可能となります。経費計上できる項目は、ひとつでも取りこぼさないようにしましょう。

 

青色申告をする

青色申告では多くのメリットを受けられます。複式簿記による帳簿付けや決算書の作成など、白色申告よりも少し手間はかかりますが、その分受けられるメリットは大きいです。

 

法人化する

不労所得が事業的規模となってきたら、法人化も検討しましょう。課税所得額が900万円超ならば、所得税率よりも法人税率を適用する方が節税になります。

 

専門家に相談する

不労所得が大きくなりそうな場合は、節税対策を得意とする税理士や、不動産投資の専門家である不動産投資会社などの専門家に相談するのもよいでしょう。

 

まとめ

不労所得はさまざまな種類の所得に分類され、かかる税率や課税方式も異なってきます。自身の収入に対してどのくらいの税金を納税する必要があるのかを知っておくことは、非常に大切です。適切な確定申告の方法を覚えて、効果的に節税対策を行っていきましょう。

 

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